写真を撮る人 三澤武彦


第八章 

いろいろな事例


ブルーハーツが、大好きだった。商店街で流れている曲を聴いて、たまげてその場ですぐに大阪有線に電話した。「今流れている曲はだれの?」 心臓を鷲づかみにされた気分だった。 そのままレコード屋に行ってLPとCDがあって、どっちも同じ三千円だったので、大きいLPを買ってしまった。
もう20年以上前の話。(当時)

 



ここまで書いてきたお話は、表現の入門書とかを読むと、どれにも同じような話が語られているホント初歩の初歩のことです。だから書いていて、だんだん教科書のような感じになってしまったので、この先どうしようかなあと思ったけど、実はまだ核心部分が残ってこれを話さないとまた悩んでしまう人がでるだろうと思って再開するわけね。

これまでの話をふまえた上で、
いろいろな事例を紹介してみようと思います。
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事例1
イイ写真って、どんな写真ですか?


という、質問を時々受けます。
じゃ、逆にこっちから質問ね、考えてみてください。
「イイ歌って、どんな歌ですか?」

学校の音楽の教科書に載ってる歌?
ヒットチャートにでてくる売れてる歌?

そんなの人によってみんなそれぞれ違うよね。
人がイイといっても、自分には響かない歌もあるし、その逆もある。
多くの人がイイと感じることは、近いけど、すべてじゃない気がする。
多くの人がイイといってるからといって、自分もそう思う必要もないし
結局、自分の好み=自分の気持ちでしかないわけだ。

イイと感じる曲からは何が響いてくるんだろう?
何が伝わってくるんだろう?

それを考えてゆくと
イイ写真のことも、これと同じようなことだと思うの。











事例2

練習で撮ってる写真を見せてもらった。
つまらなくて何も響いてこない・・・

「どういうつもりで撮ってるの?」
「だって、撮れっていわれたから」
「・・・」
練習でも自分の気持ちで撮らないと何にも意味ないよ。
気が乗らなかったら気が乗るもの撮ればいいじゃん!


事例3

「自分では気持ちで撮っているつもりなのに、上からいろいろ指示される。」


この場合は大きく二つの意味があります。ひとつは、
1/「上」が気持ちを求めていない場合。
撮影のマニュアルを作ってあるような撮影会社だと、撮影者の気持ちよりも、感情のない引き出しだけをいっぱい持った撮影ロボットを求められることがよくあります。

集中力が途切れたときも、コピーロボットが出てくるときもある。

最近はソーシャルネットワークでそういう自己顕示欲に満ちた写真を目にすることがあります。

ウエディングフォトが嫌いになるカメラマンの多くは、このロボットになるのを嫌う方が多いです。
ボクもそのクチ。
その場合、あなたの力で職場に改革を起こすか、他の職場に移った方がよい経験を積める場合があります。





もうひとつは
2/あなたの写真が人に伝えるレベルに達していない場合。

人に伝えるレベルに達していない・・・
これもさらに二つに分けることが出来ます。

・伝える技術がない場合。
技術的に未熟で、意図したとおりに表現できなかったり、「考えデブ」の自分が伝えるものをぼやかしてしまったり。
この場合は撮った側にも不完全燃焼感が残ります。これは今まで話してきた方法で改善できます。

・伝えるモノが間違っている場合。
完全燃焼して伝わらない場合もあります。いわゆるひとりよがり・・・
自己満足というヤツです。

この場合の多くは伝えるモノが間違っていることが多いです。
たとえば時々見かけるのが「俺のセンスと良いところを見せたい。」とか。
どうだすごいだろう!」ってね。
でも、そんなの誰も見たがってないよね。

今までずっと「自分の気持ちが大事」と話してきました。
そして自分の気持ちに気付きはじめた時に陥りやすい罠が、この自己満足なんです。

でもさ、自分の撮ったモノに満足できること・・・これはあまりまえのことだよね。
自分以外の人が何も感じていいない・・・問題はここにあるわけね。



で、次回はいよいよ最終章に突入ね。

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