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写真を撮る人 三澤武彦
第二章
撮影の思考のタイプ
ウチを訪ねてくる若い人たちと話していると、
才能で写真を撮るモノだと思っている人が圧倒的に多い事に気付きます。
たしかに天才的な人もごくマレに存在するけど、ボク自身は才能などは信じていません。
写真を撮るために、必要な才能があるとすれば、写真を楽しむ才能くらいかしら。
でもいざ写真の勉強しようと思っても、観念的な精神論はあっても具体的な勉強方法の話はなかなかないんだよね、これが。
なので、自分の撮影プロセスをひもときながら、自分の時のことを思い出しながら書いてみようと思いました。人に教えるほどの力量でもないし、いつまで続くか分かりませんが、どうかおつきあい下さいな。
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写真を撮る人間には大きく分けて二つのタイプがいると思います。
ひとつは、
あるシーンを見て瞬時に自分の頭の中にイメージを浮かべてから、そのイメージを元に絵作りをするタイプ。
もうひとつは、
あるシーンを見ながら、アドリブでイメージを作っていくタイプ。
この二つのタイプにきっぱり別れるわけではなくて、比重の違いで境界は曖昧です。
でも、いろいろと話を聞いていると圧倒的にイメージを作ってから絵作りをする人が多いみたい。ボクもこのタイプ。
撮りながらアドリブだけでイメージを作れる人というのは、あまりお目にかからないし、ボクが知っているそのタイプの数人は素人か天才肌の奇人変人が多いように思います。
イメージを思い浮かべてから絵作りをする。
どう写真を撮っていいかわからないという人は、
このイメージを思う浮かべれない事が多いようです。
あるいはイメージが弱いか。
では、そのイメージはどこから来るのでしょう?
それは今まで見てきた映像の蓄積なのだと思います。
写真の勉強方法で、「とにかく良い写真をいっぱい見なさい」、というのがあります。
それこそまさに、自分の頭の中にイメージの引き出しを蓄積させる作業なんだよね。
でも漫然と雑誌とかを眺めていても、あまり効果はありません。
ちゃんと自分の好みで選別していかないと自分のモノになっていかないのです。
できれば、気に入った写真を切り抜いてスクラップブックに貼っていくのがいい。
ボクも昔そうやっていました。
そうすると、自分が反応する写真の傾向がハッキリとわかるからです。
集まったスクラップは自分のイメージの世界になってゆきます。
見るモノ、集めるモノは写真ばかりじゃない、映画やマンガ、CM、古典の名作、CDジャケット、音楽、文学、詩、今時ならネットで公開されている写真・・・etc
どこにでも興味の対象は転がっています。
集まったスクラップを眺めていると、ムラムラと写真が撮りたくなってくるようだったら、
そのスクラップはかなりイイ線いっていると思いますよ♪
つづく
年末の大掃除で出てきたもう25年も前(2008当時)のスクラップの切れ端。
パイオニア ロンサムカーボーイの広告。片岡義男の短い文章が好きだった。
スクラップしていると、その時代の流行や、当時自分が間が考えていたモノがモロにでてしまうけど、やがて時代や流行じゃない、変わらない本質に気付いていくのでした・・・。